ここから始まる夢への挑戦
昭和55年1月。
本社事務から事業所(教習所勤務)へ異動を命じられた。
目標もなくだらだらと仕事をしていたので仕方がないが、本社から事業所への異動は前例がなく、ほぼ左遷に近かった。
悔しかった。
だから、負けたくなかった。
――見返したい。
その思いだけで、技能指導員審査に挑んだ。
当時の審査は厳しかった。
筆記試験に合格しなければ、次の技能試験(場内)には進めない。
そこで終わる者も少なくなかった。
筆記試験の科目は、
関係法令、教則、教育知識。
会社は違うが指導員審査を受審する同期15名が約1か月協会で講習を受講した。成績はおもわしくなかった。
法令を読み込み、教則を叩き込み、
協会講習を含め約2ヶ月間夜遅くまで机に向かった。
何とか頑張り筆記試験は3教科1回で合格(15名中4名が残った)
本当の不安はその先だった。
所内技能、路上技能。
そして最終の面接――教え方の実習と心構え。
人に教える資格が自分にあるのか。
そこが、怖かった。
結果は――
すべて一発合格(最終は15名中2名しか残らなかった)。
安堵よりも、まず驚きが来た。
そして本社に戻ったとき、
担当部長が涙を流していた。
部長は言った。
「お前はやってくれると思っていた。」
その言葉が、胸に刺さった。
左遷だと思っていた異動。
見返したいと思っていた自分。
でもあの日、
本当は信じてもらっていたのかもしれない。
少しだけ、本社を見返した気持ちになった。
けれどそれ以上に、
自分の弱さを越えられた気がした。
あれから45年。
人生もまた、
段階を越えなければ次へ進めない。
筆記を越えなければ、場内には立てない。
あの試験は、
その後の自分を教えてくれたとともに、仕事に対しての夢(目標)ができた瞬間だった。
夢の途中。
ハンドルの向こう側へ。


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